要除却認定実務マニュアル

「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」改正による要除却認定対象の拡充(火災安全性不足・外壁等剥落危険性・配管設備腐食等・バリアフリー不適合)から、これまで耐震性不足マンションにのみに適用されていた容積率緩和特例・マンション敷地売却事業の対象も拡充されました(令和3年12月20日施行)。

「要除却認定実務マニュアル」は、拡充された認定の基準、建物の調査・判定方法、申請手続の方法等を具体的に示し、要除却認定実務の円滑化を目的としています。

特定行政庁による認定の対象は、生命・身体に危険性があるもの(耐震性不足・火災安全性不足・外壁等剥落危険性)と、生活インフラに問題があるもの(配管設備腐食等・バリアフリー不適合)に大別され、生命・身体に危険性がある対象の認定を、特に「特定要除却認定」とする。

「要除却認定」を受けた場合、マンションの建替えの際に「容積率緩和」特例の適用対象となり、「特定要除却認定」を受けた場合は、加えて、「マンション敷地売却事業」及び「団地型マンションにおける敷地分割事業」の対象となる。

「要除却認定」は、老朽化が進み維持修繕が困難なマンションの建替え等の円滑化を目的とし、「認定基準」は、マンションを除却しなければならない基準ではなく、「除却」が合理的に選択肢の一つとなる基準である。
容積率緩和等を必要としない通常の建替え・改修・修繕が合理的と判断される場合は、要除却認定を取得する必要はないが、認定基準を指標としてマンション老朽化のチェックは有効であるとしている。

管理者等による要除却認定の申請にあたっては、耐震性不足・火災安全性不足・外壁等剥落危険性・配管設備腐食等・バリアフリー不適合のうちいずれかの基準への該当が必要であるため、対象マンションにおける方針・建物の劣化状況・希望する特例制度を踏まえ、調査・判定に係る管理組合の負担が少ない基準の選定が効率的とされる。

一方、認定を受けたマンションの区分所有者には、除却の努力義務があり、都道府県知事等は、区分所有者に必要な指導・助言ができ、正当な理由なく除却が行われていないときは、指示・公表ができるとしている。

2022年06月03日