所有者不明私道対応ガイドライン

複数の者による私道所有形態には、①私道全体を複数の者が所有しているもの(共同所有型私道)、②私道が複数の筆からなり、隣接宅地所有者等が、各筆をそれぞれ所有・相互利用するもの(相互持合型私道)がある。
複数の者が共有する私道(共有私道)について補修工事等を行う場合、民法の共有物の保存・管理等の解釈が必ずしも明確でなく、事実上、共有者全員の同意を得る運用がされ(例:助成金)、共有者の所在把握が困難な事案において、補修工事等の実施に支障が生じていた。

相続登記未了土地調査の対象のうち、地目が道路であるものを集計した結果、中小都市・中山間地域の私道において、相続登記が未了となっているおそれのある土地の割合が高く、共有私道工事等の実施には、共有物の保存・管理等に関する解釈の明確化が必要となった。
所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化の両面から総合的に民事基本法制の見直しがされた改正民法(共有制度・財産管理制度・相隣関係規定)(令和5年4月1日施行)を踏まえ、令和4年6月7日「所有者不明私道への対応ガイドライン」は改訂された。

改正概要
「共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化」
「使用する共有者がいる場合」
共有物を使用する共有者がある場合でも、持分の過半数で管理に関する事項を決定できる(改正民法252)。

「所在等不明共有者がいる場合」
裁判所の関与により
所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により、共有物の変更可能(改正民法251Ⅱ)。
所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数により、管理に関する事項を決定できる(改正民法252Ⅱ①)。

「賛否を明らかにしない共有者がいる場合」
賛否を明らかにしない共有者がいる場合には、裁判所の関与を得て、その共有者以外の持分の過半数により、管理に関する事項を決定できる(改正民法252Ⅱ②)。

「財産管理制度」
不在者財産管理人による供託の規律新設(改正家事法146の2)(適時の職務終了可能に)
「所有者不明土地・建物管理制度」
個々の所有者不明土地・建物に特化して管理を行う所有者不明土地管理制度・建物管理制度を創設(改正民法264の2~264の8)
(区分建物:所有者不明建物管理制度・適用除外)

「ライフライン設備の設置・使用権に関する規律の整備」(導管設置権明確化)
「隣地使用権の内容に関する規律の整備」
「越境した竹木の枝の切取り」

2022年11月22日