合意形成

「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」は、合意形成を円滑に進める手順・留意点について解説。建替え決議までの合意形成が重要とし、「準備段階」⇒「検討段階」⇒計画策定する「計画段階」という3段階を踏みつつ、合意レベルを着実に高めるとする。

「建替えありき」ではなく、敷地売却や修繕・改修と比較し、(期待実現のため)どの手法が適切かの検討が、円滑な合意形成につながる。また、区分所有者である専門家の利用は、区分所有者の立場に立った検討が行える一方、癒着等の批判を受けないよう、透明性確保・報酬明確化に留意し、不信感が生じないように注意する。

多数の理解を得た時点で、建替えを計画するかどうかの合意形成(「建替え推進決議」:建替え決議の前段階)を行う。区分所有法上の手続きではないが、合意形成を着実に高め・進める。なお、建替え推進決議は、実施決定でなく、この決議意味の理解が重要とする。

建替え決議の成立に向け、各区分所有者の意向把握を繰り返し、計画作成、事業性の評価試算、個別状況(賛成できない理由・事情把握)への対応、行政・近隣住民との協議等を経て、事業費全体の負担低減・計画条件等ポイントを押えつつ、建替え決議成立を目指す。

一方「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」(令和5年8月)では、様々な課題の解決を図るためには、管理組合において活発に議論が行われ、合意形成を進めていく必要があるとするが、①管理不全マンションに対し助言・指導・勧告を行っても、合意形成できず是正に至らないおそれ⇒地方公共団体の権限強化を検討する。②既存不適格の場合、形態規制(容積率・日影規制など)が誓約となって、事業性や合意形成の確保が困難⇒地方公共団体が行う独自の緩和事例等を収集・横展開を図るとする。

(超高層マンションは入居者の属性差から、合意形成に困難性があるとの指摘あり)
今後の施策方向性として、超高層マンションの実態(総会における合意形成・修繕費用の積立・管理費の水準・交流イベントの実施状況など)についてより詳細な調査を実施し、必要に応じてガイドライン整備など検討するとしている。

2023年11月15日