遅延損害金(債務不履行)

利息制限法1条(利息の制限)は、金銭消費貸借における利息の上限を定め、超過部分を無効とする
元本の額が10万円未満の場合 年20%
元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年18%
元本の額が100万円以上の場合 年15%

利息制限法4条(賠償額の予定の制限)は
金銭消費貸借上の債務不履行による賠償額の予定は、元本に対する割合が利息制限法1条に規定する利息の1.46倍を超えるときは、その超過部分を無効とする。
元本の額が10万円未満の場合 年29.2%
元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年26.28%
元本の額が100万円以上の場合 年21.9%

消費者契約法9条2項
要約すると消費者契約における損害賠償額の予定は、年14.6%を超える部分は無効

一方
損害賠償の内容からは、次の2つが考えられる
①遅延賠償:履行遅延を理由とする損害賠償・本来の履行と併せて請求される損害賠償
②填補賠償:履行に代る損害賠償

損害賠償額の予定とは、賠償すべき損害金額をあらかじめ当事者間の契約で定めておくこと
損害賠償額の予定がされた場合、それが過大であった場合、裁判所は信義則(民法1条2項)や公序良俗(民法90条)等に基づき、無効としたり、減額したりできる

民法419条(金銭債務の特則)
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める
ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による

遅延損害金⇒約定がないとき⇒「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」
いったん適用された法定利率はその後に変動しない
債権法改正により、遅延損害金は法定利率によると改正前より減少する
(「施行日」と「遅滞に責任を負った最初の時点」の前後関係に留意)

金銭消費貸借でなく、消費者契約でもない管理費に、利息制限法・消費者契約法は適用されない
事業者と異なり債権回収が過大な負担となり得る
よって、標準管理規約60条2項の規定

標準管理規約60条2項
組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる

標準管理規約コメント
管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる

遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる

2020年12月06日