契約不適合責任

方法として、
瑕疵担保責任(請負契約)に基づく瑕疵修補又は損害賠償(旧民634条)は、債権法改正により実質削除。
売買の準用でカバーできるため請負人の担保責任は、通常の債務不履行責任と同質となる。
追完請求・代金減額請求が加わる。
「瑕疵」は、「契約不適合」に用語が改められる。

一方、
不法行為に基づく損害賠償請求によるかの判断は「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」を検討。

最判平成19年7月6日民集61巻5号1769頁
最判平成23年7月21日民集237号293頁

設計者、施工者及び工事監理者は、建物の基本的な安全性が欠けないよう配慮する義務を負う。
区分所有者に限らず、契約関係にない居住者等に対しても同様。
さらに、「建物に基本的な安全性を損なう瑕疵」がある場合、不法行為責任が成立。

「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」は、現実的に危険な場合に限らない。
放置すれは居住者等の生命・身体・財産に対する危険が現実化する場合、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に該当。
構造耐力上の瑕疵に限らない。

例えば、
外壁が剥落して通行人にあたる
開口部・ベランダ・階段の瑕疵により建物の利用者が転落
漏水・有害物質の発生により建物利用者の健康財産を損なう危険

建物の美観・居住者の居住環境の快適さを損なうにとどまる瑕疵は、「建物に基本的な安全性を損なう瑕疵」に該当しない。

構造耐力に関わる瑕疵は、建物建築中から留意する必要がある。
建物の構造耐力に関わらない瑕疵も含むので、構造図の調査のみでは不足。

長期修繕計画作成は、新築マンションの場合、設計図書、工事請負契約書による請負代金内訳書及び数量計算書等を参考にする。
既存マンションの場合、保管されている設計図書のほか、修繕の履歴、劣化状況の調査・診断の結果に基づいて、計画期間の推定修繕工事の内容、時期、概算の費用等に関し計画を定める。
マンション販売時・分譲会社からの設計図書の引渡しは、平成13年から義務化。

長期修繕計画の見直しは、設計図書、修繕履歴の資料調査、現地調査、必要により区分所有者に対するアンケート調査を行い、建物及び設備の劣化状況、区分所有者の要望の現状を把握し作成する。

2019年11月15日