高圧一括受電方式への変更に関する最高裁判決について

区分所有法(規約事項)を要約すると、
30条1項は、「建物・敷地・附属施設の管理・使用については、区分所有法のほか、規約で定められる。」
30条3項は、「規約は、専有部分・共用部分・建物の敷地・附属施設(権利を含む。)につき、形状・面積・位置関係・使用目的・利用状況・支払った対価等を総合考慮し、利害の衡平が図られなければならない。」としています。

区分所有法30条に反する規約は無効です。
専有部分は、区分所有者間の調整を図る規約のみ認められ、共用部分は、管理・使用について、広く規定できます。
専有部分と共用部分で規定できる範囲が異なります。

平成31年3月5日 第三小法廷判決は、高圧受電方式へ変更するため、「個別契約の解約申入れ」を義務付ける管理規約の変更・細則が設定され、決議・細則の義務に反し解約しないので、損害賠償を求めた事案です。

理由中に、規約の判断があります。
高圧受電方式へ変更する決議は共用部分の変更・管理に関する部分はあるが、決議のうち、個別契約の解約申入れを義務づける部分は、「専有部分の使用に関する事項」であって、共用部分の変更・管理に関するものではない。
言い換えると
個別契約の解約申入れを義務づける部分は、30条1項の「建物所有者相互間の事項」を定めたものではなく、規約として効力を有しない。

では、視点を変えて
契約の解除とは、契約成立後、当事者一方の意思表示により契約関係を解消し、未来の債務を消滅させ、履行部分は返還による原状回復を目的とする法律行為です。

解除権は、「法律の規定または契約により」発生する。
法定と約定解除権が存在するが、双務契約上の債務不履行を理由とする法定解除権が重要、約定解除権は法定解除権を補充・修正するといわれています。

解除権は、契約当事者の地位と不可分です。
契約から生じた債権を譲渡しても、契約当事者の地位の譲渡がない限り、解除権は、譲受人になく引き続き譲渡人にあります。

また解除権も不可分です。
民法544条1項は、「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員からまたはその全員に対してのみすることができる」と規定しています。

以上、自己満足で納得した自分がいます。

2019年09月07日