相続法改正について

平成25年9月4日、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する民法900条4号ただし書の規定を違憲とした最高裁判所大法廷の破棄差戻し決定(民集67巻6号1320頁)が、今回の相続法改正の始まりです。
報道され、ご存じの方も多いかと思います。
平成25年12月11日法律第94号で、民法900条4号の規定は改正されます。

昭和22年に、「家」制度を支えてきた家督相続は廃止され現在の相続制度が導入されましたが、民法900条4号ただし書(昭和22年民法改正前の民法1004条ただし書)の規定は廃止されずひきつがれます。

平成7年以降の最高裁の判断は、合憲としつつも「嫡出でない子の立場を重視すべき」との反対意見と拮抗。

平成13年7月には、嫡出子でない子に、選択ないし修正する余地のない事柄を理由として、不利益を及ぼすのは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきという考えが確立し、違憲とされた理由のひとつとなります。
平成13年7月と昭和22年当時の状況を比較すると、婚姻、家族形態、国民意識の多様化は著しく進んでいます。

平成25年9月4日違憲決定後の議論で、高齢化社会の進展や家族のあり方の変化に対し、特に「配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮」から今回の相続法改正となります。

相続制度(法定相続)は、国の伝統,社会事情,国民感情など総合考慮され、また、法定相続の規定は、遺言のないときに適用されます。
一般の家族関係を想定して定めた法定相続の規定は、個人に当てはめると相続人間の公平が図れない場合があります。

相続・遺言を考えるとき、自分の家族関係をよく考え、ご家族に最もぴったりする相続の検討が重要です。
また、相続制度と同様に、ご自身の相続を考えるとき、時間による状況の変化を考慮する必要があります。

2019年07月20日